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    • (1)「給与・人事評価制度のストーリー」を考える
    • (2)ジョブ型給与制度のメリットとデメリット
    • (3)給与体系の項目(基本給、手当)を考える
    • (4)役職と等級の考え方
    • (5)人事評価シートの作り方
    • (6)年俸制度の考え方
    • (7)パートタイマー(アルバイト)の給与と人事評価について
    • (8)退職金の考え方
    • (9)賃金規程(給与規程)の作り方
  • 人事評価制度のスケジュールと運用について
  • 人事評価制度作成の相場とコンサルに依頼するときの注意事項
  • 人事評価制度を初めて作成する場合(創業初期)
  • 会社案内、コンサルタントプロフィール

 

人事評価制度の作り方
中小企業の給与体系、人事評価シート
人材評価制度の作り方

(3)給与体系の項目(基本給、手当)を考える

① 一般的な給与項目について
自社に合った人事評価制度のストーリーのイメージができたら、いよいよ具体的な給与体系の設計を行います。
給与は、一般的に基本給と各種手当によって形成されます。さらに賞与やインセンティブがあります。
人事評価制度のストーリーが整っていれば、その内容に合った基本給の考え方や手当を決めることは難しくありません。
② 基本給の考え方
基本給はその名の通り、給与の基本となる部分です。
基本給に絶対的な意味を求めるのは難しい場合があります。年齢とともに毎年アップするのであれば、年齢給の考え方になりますが、一般的には経験(社歴や年齢)と成果を総合的に考慮して基本給を決定します。また、多くの日本企業では、毎年少しずつ基本給がアップします。
基本給の正しい金額から考えるのは難しいことです。そのため、最初に基本給の金額を設定するのではなく、前述のように自社の役職に対する年収額のシミュレーションを考慮して、支給すべき給与額(月給)から手当を引いた金額が基本給の額であると考えると分かりやすいです。
つまり、支給すべき給与額(月給)が決まっている、手当にはそれぞれ意味があるので、支給額を特定できる、そして、支給すべき給与額(月給)から手当額を引いたものが基本給になるということです。
このように考えると、基本給は、手当をどうするかが決まった後に考えた方がよいのです。
③ 手当の考え方
良い給与体系を作るために、自社に合った手当を設定することがとても重要になります。
手当は給与制度に意味を持たせたり、公平感を出すなど大きな意味を持ちます。
それでは、世の中にはどのような手当があるか見ていきましょう。

  • 役職手当:詳細は後述しました。
  • 等級手当:詳細は後述しました。
  • 資格手当:会社が設定した資格を有する場合に支給します。
  • 技能手当:特別な技能や特に高い業務遂行レベルの場合支給します。管理職には向かない職人タイプなどの場合にも有効です。
  • 部門手当:部署間の給与相場を調整します。
  • 営業手当:特に営業職の給与相場を高くする場合に支給します(部門手当を同じような考えです)
  • 精勤手当(皆勤手当):遅刻や欠勤が多い組織に有効です。
  • 地域手当:支店などがある場合、地域別に物価などを考慮して設定します。

  • 通勤手当:給与制度とは別の枠でルールを決めます(非課税枠があります)。
  • 家族手当:扶養している子供や配偶者に応じて設定します。
  • 別居手当(単身赴任手当):転勤により家族と離れて暮らさなければならなくなった場合に支給します。
  • 子女教育手当:扶養する子の教育費などを補う目的で支給します(特に海外勤務などの場合)。
  • 住宅手当:住宅費用を補助するために支給します。
  • 時間外手当、休日出勤手当:実施した場合は、法律に従って支給します。
  • 見なし残業手当:実際の残業時間にかかわらず、事前に決められた残業代を支給する制度です。

  • 社員紹介手当:社員の紹介により採用した場合に支給します。
  • 禁煙手当:健康に気を付ける意味と、喫煙によって業務から離れている時間を考慮するという意味があります(たばこを吸う人の方が労働時間が短いという不公平の是正)。
  • 健康診断優秀手当:健康管理が重要であるということを社員に理解してもらう効果があります。
  • アニバーサリー手当(本人、家族の誕生日など):帰属意識や愛社精神向上の意味があります。
  • 自己啓発手当:体系立てた人材育成制度がない場合に有効です。
  • マイカー手当:自分の車を業務に使用する場合に支給します。
  • ○○当番手当:一部の人が業務外の仕事をしていて不公平感がある場合は手当を支給して調整します。
  • 社長賞、業務改善(提案)賞:手当のルールを設定した場合、簡単に取り消すことはできませんが、給与制度とは別に〇〇賞を設定することが有効となる場合もあります。

以上は、私がこれまでの給与・人事評価制度のコンサルティングで実際に導入した手当の例です。
ビジネスモデルや組織体制、会社の方針によって有効な手当はさまざまなので、どの手当を導入するべきかは、会社によって異なります。
手当は、上手に運用すると「かゆい所に手が届く便利なもの」になります。
人事評価制度のストーリーを確認しながら自社に合った手当を設定してください。

家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金は割増賃金(残業代)の計算の基礎に含めない(除外する)ことになっていますが、このことばかり意識して、これらの手当の金額を高くするのはお薦めしません。手当は、ビジネスモデルや経営方針に合ったものにするのが第一です。
④ インセンティブ(歩合給)の考え方

インセンティブは、業界や業種によっては大きな力を発揮します。
販売するものが一定で社員はその販売のために多くの時間を費やす場合は、インセンティブについて検討するとよいでしょう。例えば、不動産業の営業職はインセンティブを導入している場合が多いです。
インセンティブ(歩合制)が成立するためには、ルールをしっかり数字で表現できることが条件となります。別の視点で言えば「公平なルールを作ることができる」ということです。あらゆるパターンや例外なども含めて細かくルール作りをする必要があります。
多くの場合は、一定の売上基準額を超えた〇〇%をインセンティブとして支給するという考え方を基本としています。この考え方をもとに商品ごとのルールや人数のルール(何人で実行したか)などを検討します。

通常、インセンティブ制と言えば、毎月の給与に反映しますが、賞与の際に支給する方法もあります。
1か月ごとの集計結果ではなく、例えば6か月ごとに賞与が支給される場合は、6か月の数字をもとにインセンティブ額を支給するという考え方です。

インセンティブは達成したときの喜びは大きいですが、未達の場合はマイナスの感情に陥りやすいです。これがそのままインセンティブ制のメリットでもあり、デメリットでもあります。

頑張って成果を上げた人にはそれに見合う給与を支給するが、合わない人は辞めてもらっても構わないというビジネスモデルの場合は極端なインセンティブ制でもよいですが、少しずつ成長して組織力で業績をアップするという考え方であれば、インセンティブ制は不向きです。個人の成果によって給与に差をつけるのであれば、賞与で反映する方法で十分です。
⑤ 賞与の考え方
賞与は、生活給の考え方とインセンティブの考え方がありますが、一般的にはこの両方をバランスよく考えて支給しています。例えば、「本人の基本給×評価結果の係数」を基本に賞与額を決定するということです。
本人の基本給が生活給の考えとしてあり、それをベースとして後は、能力や成果に応じで変動します。さらに部門や役職別に差をつけるのであれば「本人の基本給×評価結果の係数×部門別の係数×役職別の係数」という具合に応用式を作成することができます。

経営をオープンにするために、賞与の全体額(全従業員へ支給する賞与額の合計)を営業利益などと連動した式で決めて公開したいと考える経営者がいますが、これはお薦めしません。お薦めしないというよりも「難しすぎる」と言った方が適切かもしれません。
会社の利益に対して、賞与の予算額を公式のように定めることができたら楽なのですが、会社の収益の背景にはさまざまな要件があります。利益の算出方法の問題、何人でその利益を獲得したか、設備投資の影響、運や外部要因の影響など、ビジネスには不確定要素がたくさんあるので一つの公式を作るのは難しいのです。
賞与の支給額を考える際は、月給も含めた総人件費とその年の業績や今後の見込みなどを考慮します。業績が悪いときはゼロもあり得るということです。一方、従業員の中には「賞与も基本給と同様に毎年少しずつ上がる」と考えている人がたくさんにます。
実際に年功序列式で賞与額も経験とともに少しずつアップすることができればよいのですが、多くの中小企業にとっては厳しい話になります。この辺の厳しさは社員に理解してもらう必要があります。
賞与は、売上高や営業利益の結果をそのまま反映させるのではなく、利益が少ない時は内部留保から多少補填して社員の生活の安定を意識する。逆に、大きな利益が合った場合は、すべてを還元するのではなく、将来のために内部留保するという考え方をお薦めしています。そして、業績が悪く、内部留保もなければゼロになることもあり得るということです。
⑥「基本シミュレーション表」で確認する
基本給、各種手当、賞与の金額は、バランスが重要です。
例えば、年収500万円でも月給と賞与のバランスはざまざまです。あるいは月給を30万円支給するにしても基本給額や各種手当額をどうするかによって意味合いが変わってきます。
このバランスの確認のために前述した「基本シミュレーション」が役に立ちます。エクエルで作成するので数字を変えながら、ちょうどよいバランスの給与体系を作ることは難しくないはずです。
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