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  • 人事評価制度を初めて作成する場合(創業初期)
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人事評価制度の作り方
中小企業の給与体系、人事評価シート
人材評価制度の作り方

(5)人事評価シートの作り方

人事評価制度において「人事評価シート」は必須アイテムであると言えますが、これを導入する理由(目的)は次のようなことがあげられます。

  • 目標を設定してその達成に向けて努力する。
  • 昇給や昇格の指針とする。
  • 部下と上司のコミュニケーションツールとする。
  • 社員の能力や成果の出来具合(あるいは序列)を明らかにする。

どれも必要な要素だと思いますが、私は人事評価シートで最も重要なことは「社員の成長とモチベーションアップに役立っていること」だと考えています。
人事評価シートが昇給や昇格判定のため、あるいは、社員の能力の優劣を確認するためである場合、これは、会社が管理するためという要素が強くなり、「自分たちのため」であると感じにくくなります。
そうではなく、人事評価シートは「自分の成長のためにある」と感じられることが重要です。そうすれば、自ら真面目に取り組むことにつながるはずです。
「会社から命じられてやっている」ではなく、「自分のためにやっている」と感じられる人事評価シートが良い人事評価シートなのです。

私のコンサルでは社員の成長とモチベーションのほかに、「シンプルで実用的」な人事評価シートにすることを重視しています。これを実現させるために、私は経営者に「この人事評価シートを社員が理解をして実行しているイメージはできますか」という質問を頻繁にしています。
① コンピテンシー評価について
人事評価シートにはさまざまなスタイルがありますが、ここで多くの経営者が疑問に思っていることを整理したいと思います。
まずは、コンピテンシー評価について。
コンピテンシーとは英語で「能力」という意味です。そして、人事の世界でコンピテンシー評価と言うと、仕事で高いパフォーマンスを発揮している人に共通した行動やスキルを体系立てて評価基準とする方法ということになります。優秀な(高い成果を上げている)Aさんの行動やスキルを分析、観察した結果分かる必要条件をまとめたもの、というイメージです。
もちろんモデルケースはAさん一人ではなく、パフォーマンスを発揮するハイパフォーマーに共通して見られる行動特性を集めた結果となります。
つまり、「コンピテンシー評価」という一つの決まった形式の人事評価シートがあるということではなく、優秀な人材の行動特性をまとめた結果があり、それを人事評価に活用するということです。
そして、仮にコンピテンシー評価という言葉を知らなくても、多く場合、経営者や人事担当者は自然とコンピテンシー評価の概念を意識しながら人事評価制度を作っているのです。
コンピテンシー評価に関する具体的な内容(項目)はインターネットや書籍などで入手することができるので、給与・人事評価制度を作成する前に一度、確認してみてください。
② 人事評価シートの種類
人事評価シートは、業種や会社の規模、人事評価制度の運用に関する習熟レベルによってさまざまなスタイルがありますが、私が人事評価シートを作成するコンサルでまず意識していることは、「この人事評価シートで社員は成長できるか」と「しっかり運用できるか」の二点です。
人事評価シートはその形式(見た目)よりもこの二点が叶っているかどうかがポイントになります。

自社に合った人事評価シートを作成するためには、やはり人事評価制度のストーリーが重要になってきます。方針がしっかりしていれば人事評価シートのスタイルも自ずと決まります。
例えば、
  • 役職や等級別の定型設問型
  • ピンポイント目標設定型
  • 数値管理型
  • コミットメント型
といった人事評価シートのタイプがあります。
多くの場合は、これらをミックスした人事評価シートになりますが、部署や職種、あるいは役職によって変わることもあります。

専門家でない方が初めて人事評価シート作成にチャレンジするといろいろ迷うかもしれませんが、大切なことは、「この人事評価シートで社員は成長できるか」と「しっかり運用できるか」の二点です。そして、最初から完璧なものを目指すよりも「必要に応じて改善する」という考え方も重要です。
最初から完璧な人事評価シート、何十年も使える人事評価シートはないと言っても過言ではありません。組織の成長によって改善(変更)するのは自然なことなのです。

人事評価は会社の重要な仕事の一つです。自分たちでしっかり理解、コントロールして、必要に応じて自分たちで臨機応変に修正できることが重要です。
コストをかける必要はありません。社員200人位までであれば、専用のシステムよりもエクセルで運用する方が楽であると私は考えています。
これまで私がコンサルをした会社の中には「人事制度のシステムをアウトソーシングで導入したがあまり機能していない、しかし、途中でやめるはもったいないと」言った相談がよくあります。
とても残念なことですが、どのようなスタイルでも、自分たちで修正、運用できなければ良い人事評価制度とは言えないのです。

人事評価シートのサンプルは、インターネットや書籍などにたくさんあります。
それらの中から「これはウチに合っている」というものを見つけて、まずは、実践することです。そして、不都合ややりにくさを感じたら柔軟に修正するという姿勢が重要になります。
③ 5段階評価、4段階評価、7段階評価
人事評価シートの基本的な考え方は、決められた期間(多くの企業では6か月)の間に達成したい目標や重視しているマネジメントに関する項目があり、期末にその結果を評価するというスタイルです。
つまり、目標の達成具合を定量評価する必要があります。
中学校の通信簿の多くは5段階評価なので、多くの人は5段階評価に慣れていて、実際、多くの中小企業でも5段階評価を導入しています。しかし、5段階評価以外にも、4段階評価や7段階評価という考え方もあるので自社の考え方にあった評価スタイルを導入してください。

例えば5段階評価の評価基準として、次のようなものがあります。
そして、4段階評価であれば、
私がコンサルをした会社で4段階評価の評価シートを採用した会社は少ないですが、いずれの経営者も「普通」はつけたくない。社員の成長のためにも、「この調子で頑張れ」と「もっと頑張る必要がある」をはっきりさせたいとの意図でした。

7段階評価は、「3点と4点の中間位の評価点がほしい」といった場合に有効です。
実は、最初から7段階評価をご提案して採用になったケースはなく、実践(運用)をしていくうちに「3点と4点の中間位の評価点がほしい」ということで「3.5点」を付けはじたのです。ご参考までにこのようなケースで7段階評価にした会社はいくつかありましたが、いずれも関西の会社だったことに面白さを感じました。
④ 360度評価のメリットとデメリット
360度評価の是非について相談を受けることがあります。
360度評価は、部下、同僚、あるいは社外の関係者が評価に携わるという考え方です。
その目的は、上司と部下間の評価だけではなく、関係者が評価に携わり、公平な評価、新しい発見、評価者としての自覚、風通しの良い組織を目指すということです。つまり、これらが360度評価のメリットになります。
一方、360度評価のデメリットは時間がかかる、部下や関係者に対して甘くなるおそれがある、周囲の評価が気になって集中できないなどが挙げられます。さらに、通常の人事評価では、例えばマイナスなことがあった場合、上司からいろいろ言われますが、360度評価では大勢の人からマイナスなことを指摘される可能性があり、それは精神的に大変だということです。特に中小企業において、この360度評価を導入する場合は、制度に振り回されないように気を付ける必要があります。
一般的な方法は、アンケート形式での設問に部下や同僚が答えて、その結果を人事部(あるいは外部委託)がチェック、フィードバックします。多くの場合は、人事評価結果や給与に直結するというよりも、社員教育につなげているようです。 社員数が100名以下の組織であれば、私は360度評価ではなく、人事部が個別面談などを通して、社員一人一人の仕事に対する考え方やコミュニケーション力を把握して、足りないことは個別に指導するのが良いと考えています。
ただし、下記のような状況の場合は、360度評価(アンケート形式)が効果的になる可能性があります。
  • SE職の多くが客先で勤務をして人事評価を行う上司が日頃の仕事ぶりを把握できないケース。→勤務先のプロジェクトリーダー(お客様)に評価をしてもらう。
  • 初めて課長(管理職)になった人の部下からの意見も参考にしたいと部長(上司)が考えたケース。→特例として実施する。
このように目的ははっきりしている場合に360度評価(アンケート形式)は有効になりますが、ただ単に客観性や新しい発見を意識して、人事評価制度に360度評価を組み入れるのはお薦めしません。
⑤ 評価体系を整理する
人事評価シートを実際に運用する前に、評価体系を整理する必要があります。一言で言うと「誰が誰を評価するか」ということです。
上司と部下が同じ職場で目標を共有している場合は、当然ながらその上司が部下を評価するべきです。被評価者の仕事ぶりを一番よく知っている上司が部下を評価すれば納得感も高いはずです。しかし、ここで無視できないのが、「評価する部下の人数」です。
人事評価シートの形式にもよりますが、部下の評価シート(いくつもの目標や項目)に評価をしっかり記載するのは結構大変な作業です。多くの場合、5段階評価の評価点のほかに上司コメントを書く欄があります。さらにフィードバック面談なども重要になります。
人事評価シートは会社のオフィシャルな資料になりますので、メモのような感覚で書くわけにはいきません。
これまで、多くの評価シートと評価者を見てきましたが、私は8人の部下の評価をするのが限度だと考えています。
もし、部下が10人いるのであれば、5人ずつの2グループに分けて、中間の評価者を作ってください。つまり、10人の部下の評価を部長がすべて行うのではなく、5人ずつに分けて二人の課長に任せるということです。そして、部長が最終の評価者(大きな眼での確認)になります。この場合、1次評価は自分、2次評価は課長、3次評価は部長が行うということになります。
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